工期は5―6年
苫小牧港管理組合議会は3日、2022年第1回定例会を開いた。複数の議員が東港区周文埠頭新規岸壁整備の見通しやLNGバンカリングトライアル事業の概要などについて質問。管理組合の担当者が新規岸壁整備は工期5―6年、総事業費70億円以上などの見通しを示した。
周文埠頭の新規岸壁は、災害対応強化などのため国直轄工事として事業採択を要望している。22年度予算には、事業採択された場合のマイナス9m耐震強化岸壁整備に対する管理者負担金5億6000万円を計上した。
藤田広美氏(公明党議員団)は採択の見込み、松井雅宏氏(改革フォーラム)は採択された場合の22年度事業内容についてそれぞれ尋ねた。
平沢充成専任副管理者は「採択の可否は国土交通省の事業評価審議を経て3月ごろに判断される。管理組合は荷さばき地と道路の整備、国は岸壁、港湾施設用地整備に取り組むことになる」と答弁した。
和田栄二施設部長は「22年度事業費は16億8000万円を試算し、うち3分の2は国費負担。採択されれば、管理組合は測量調査と用地買収を実施する。直轄では設計と岸壁の一部に着手する見通し。工期は5―6年で、総事業費は70億円以上になるのでは」と答えた。
両氏は、22年度予算に4000万円を計上した液化天然ガス(LNG)バンカリングトライアル事業の概要についても質問。同港では温室効果ガスの排出が少ない船舶燃料であるLNGの補給拠点形成に向け、関係機関と検討を進めている。
小名智明総務部長は「トライアルでは既に国内で就航しているLNG燃料船を苫小牧港まで回航させ、タンクローリーからLNGを供給。拠点形成の上での課題を整理する」と説明した。
藤田氏は、港湾の脱炭素化のため策定を目指す、カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画での取り組み内容についても聞いた。
小名部長は「形成計画には本港で発生している二酸化炭素(CO)排出量と削減目標、ロードマップなどを示す」と説明。
取り組みには「水素・燃料アンモニアなどの受け入れ環境整備は欠かせない。大型貯蔵タンクによる受け渡し施設の整備が求められる可能性がある。港湾の脱炭素化については、停留する船舶への陸上電力供給や出入りするトラックの次世代エネルギーによる燃料電池化などが考えられる」とした。