札幌通勤圏の立地条件生かす
23年ぶりの人口増加に期待―。南幌町の人口が1日現在で7413人になり、1999年3月末以来、増加に転じた。札幌近郊の宅地価格が高騰する中、町の子育て世代住宅建築費助成や北海道住宅供給公社とのタイアップキャンペーンを展開。隣接する北広島市でのボールパーク建設や石狩湾新港と新千歳空港をつなぐ道央圏連絡道路の整備などの効果をはじめ、町がこれまで取り組んできた医療費無料化などの子育て支援策が結び付いた。
町内では、札幌などへの通勤圏である立地条件を生かし、人口減少と過疎化脱却対策として、道住宅供給公社主体で、74年から宅地分譲を開始。89年から98年までに1428戸を発売したのをピークに、人口も98年10月に1万人を超えた。しかし、その後、景気低迷の影響もあり、販売が停滞。以後、人口減少が続いていた。
長期化する人口減少の抑制と移住定住の促進を図ることを目的に、町は2016年度から子育て世代住宅建築費助成を新たに展開。加えて同助成事業対象者がみどり野団地を購入する場合は、道住宅供給公社で宅地価格を半額にするタイアップキャンペーンを実施してきた。
18年度からは、道内で活躍する建築家と地域のことを考えて家づくりを実践する地域の工務店がタッグを組み「きた住まいるヴィレッジ」事業を展開。町内美園地域を中心に分譲区画の販売が好調となっている。
町の子育て世代住宅建築費助成は、中学生以下の子どもがいる世帯か夫婦ともに40歳未満が対象で、住宅建築後に助成。19年度26件(交付額3425万円)、20年度23件(同3025万円)だったが、21年度は68件(申請額1億1325万円)、22年度は7月20日現在で54件(同8600万円)と大きく伸びている。
札幌が通勤圏であるほか、子育て世代にとって、高校生までの医療費無料化(町内外全ての医療機関対象)、高校生の通学費助成(月額最大1万円)、学校給食の主食(米、麺、パン代)の全額補助、子育て支援米の配布(中学卒業まで年間10㌔)などの手厚い支援策も移住・定住に奏功している。
町のまちづくり地域振興グループでは「23年5月に町内中央公園にオープンする予定の子ども室内遊戯施設を町の新たなスポットとして建設整備中。一層の人口増加を期待している」と話している。