貴重な経験、若い職人に伝えたい
10月に東京都内で初開催されたジェイシフ(日本建設インテリア事業協同組合連合会)全国技能競技大会に、道内からアラゼン(本社・札幌)の菊地哲文さんが床塩ビ仕上げ部門で出場した。競技は小部屋や階段室をイメージした競技架台で長尺シートや塩ビタイルを貼り付けるもの。菊地さんは惜しくも入賞は逃したものの「全国の技能士の技術を見せてもらい勉強になった」と振り返り、職人として貴重な経験をした。
関東建設インテリア事業協同組合は毎年、技能競技大会を開いているが、さらなる業界認知度向上や入職者の発掘を目指し、ジェイシフとの共催で全国大会を企画した。
大会は、10月26―28日に東京ビッグサイトで開催した国際インテリア見本市「JAPANTEX2022」の会場内で併催。床塩ビ仕上げ部門と壁クロス仕上げ部門の2部門を設け、全国各地の職人が技を振るった。
床仕上げ部門には14人が出場。丸柱がある箇所は正確に円形に型取りしなければならないなど難易度が高い上に、3時間半の限られた時間で寸法から貼り付け、圧着までの一連の作業を終えなければならない。時間内に完了できなかった出場者もいたほどだった。
菊地さんは職歴25年のベテラン。日本最大級の見本市には多くの人が来場し、普段の現場とは違う雰囲気だったものの「最初は緊張したが途中からは気にならなかった」と、集中して取り組むことができた。
その結果、時間内に作業は完了。しかし3位以上の表彰台には届かなかった。「もう少しやれたというのが正直なところ。もったいないミスもした。機会があればもう一度挑戦したい」と悔しさを感じた一方、今回の経験を若い職人らに伝えるつもりだ。
現地で菊地さんを見守ったアラゼンの荒井竜一社長は「床技能士の地位向上や技能レベルのアップにつながる。北海道でもこういった大会をやってみたい」と、競技大会の開催に意欲を見せている。