温暖化対策、水産振興を両立
留萌市は、海藻を二酸化炭素(CO₂)の吸収源とするブルーカーボンの推進試験を北海道電力(本社・札幌)総合研究所と共同で始めた。9日に市庁舎で説明会を開き、市の展望や同社が開発した藻礁を披露。同社がブルーカーボンに関し自治体と共同研究するのは初で、海藻を利用した地球環境対策の加速に期待が掛かる。
市の榎昭博農林水産課長、北電総合研究所の辻野二朗環境技術グループリーダーらが出席した。
市は留萌港内でコンブを養殖すると同時にウニの種苗生産をし、温暖化対策の推進と水産振興の両立を目指している。
ブルーカーボンの研究を促進しようとする同社と市の意向が合致し、市が海域を提供することで共同研究が始動。期間は10月1日から2024年3月31日まで。
辻野グループリーダーは、同研究所が開発したバイオマス燃焼灰と発電所からの廃棄物などを成分とする低炭素藻礁、石炭の灰を用いた素焼きの藻礁を紹介。越智建設(本社・苫小牧)が製作した路盤材のフライクリーン、市販のモルタルも藻礁として使い、コンブの成長具合を比較する。
留萌港南防波堤の内海側に設けたロープに、8日までに5cm角の藻礁を計11個設置。市はコンブの種を付着させたひもをロープに結び、生育状況を研究する。
同社はコンブの炭素含有量や水質環境、藻礁の働きなどを分析する。藻礁を海底に置き、ロープに付けたコンブとの成長の違い、それぞれの利点や欠点も調査する。市は専門的な技術や知見を得ることで今後の取り組みの発展を見据える。
市は将来的に、民間企が参入し、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が審査・発行するJブルークレジットの認定も視野に入れる。榎課長は「クレジットを活用しブルーカーボン事業の財源確保につながれば」と展望を話した。
JBEの桑江朝比呂理事長によると「留萌港内は良いモデル海域になり得る。研究を通じて成功事例を積み上げてもらいたい」と期待を寄せている。