ジェトロの調査
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、ロシアに現地法人や支店を持つ日系企業へのアンケート結果を発表した。2022年の営業利益の見込みについて、全62社の7割が前年より悪化するとした。2月以降のウクライナ侵攻を理由に挙げる回答が9割近くに上る。長期化する侵攻が現地の日系企業にも大きな打撃を与えていることがあらためて浮き彫りになった。
調査は13年に始まり今回が10回目となる。対象は日本からの出資比率が10%を超える企業で、9月中下旬にアンケートを実施。106社に依頼して合計62社から回答を得た。これまで最も社数が多かった18年は132社に依頼したうちの114社が答えていた。
収益悪化見込みの割合は前年の8%から一気に71%に上昇。改善見込みは14%とコロナ禍が始まった2020年の10%に次ぐ低さだった。
悪化の理由はウクライナ情勢による売り上げダウンのほか、西側諸国による貿易制限など経済制裁を挙げる声があった。改善は円安・ルーブル高の為替情勢が理由の55%を占めた。
損益の見込みを尋ねると営業赤字の割合が50%で過去最大となった。黒字は35%で、過去最高だった前年の73%から最小に落ち込んだ。
23年の営業利益予想を聞くと悪化が57%、改善が11%で22年と似た傾向だった。ウクライナ情勢の悪影響が来年も続くとする見方が大勢を占めた。
今後1、2年の事業展開については、縮小が48%で前年の3%から急拡大。第三国への移転・撤退は約7ポイント増の8%となった。移転・撤退を見通す理由としては「自国・他国政府の貿易制限措置による影響」が47%で最多で、自由記述回答では「レピュテーション(評判)リスクがある」「国として信用できない」などのコメントがあった。一方で現状維持方針の企業も41%見られた。