千歳市は2023年度、公設地方卸売市場の在り方について本格的な検討を開始する。方向性を議論していた市場運営委員会は、老朽化改善へ移転新築が望ましいと結論。経営面で航空貨物を活用した移輸出拡大や加工機能強化の必要性を指摘している。市は運営委の結論などを基に新施設の概要や整備手法、建設地などを話し合う。事業費に数十億円を見込んでいる。
上長都958の1にある公設地方卸売市場は1973年2月に開設した。事務所や荷受け保管所、冷蔵庫室などがある本館は増築を重ねRC造、2階、延べ3732m²の規模。敷地面積4万9461m²となっている。
老朽化や取扱量・取扱金額の減少といった課題を抱えるが、市は17年7月に市場の存続を決め、施設整備は5年後をめどに検討するとしていた。
その後、21年度に市場の運営及び施設整備等方針策定調査をアプサラ経済経営研究所に依頼。22年度は市場運営委が調査結果を基に意見を交わし、意見報告書を1月27日、山口幸太郎市長に手渡した。
航空貨物の活用、加工・パッケージ機能強化、民間物流施設との連携を求めていて、実現には抜本的な施設整備が必要なことを盛り込んだ。大規模改修や現地建て替えは難しく、移転新築を要望している。
経営面について、新千歳空港に近い優位性を生かすことで、鮮度の良さという付加価値を付けられるほか、物流業界の「2024年問題」にも対応可能だと見込む。
合わせて、伸びている中食需要や小売・外食産業への人手不足を踏まえた加工・パッケージ機能強化、民間物流施設と連携した集荷・出荷体制強化を提案した。
報告書を基に23年度から本格的に検討する。整備手法は直営だけでなく、PFIなど民間活力の活用を視野に入れている。