鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)は29日、長万部町内で施工中の北海道新幹線豊野トンネル貫通の瞬間を報道機関や町民に公開した。新函館北斗―札幌間の開通に一歩近づいたことを祝うとともに、今後も安全や環境に配慮しながら施工することを誓った。
豊野トンネルは新青森から222.4―224km地点に位置。延長1610mで、青木あすなろ建設・東武建設・生駒組・菅原組共同体が2019年2月26日―24年4月25日の工期で施工している。
20年11月に掘削開始。出口となる札幌側坑口からNATM工法による片押しで、1日当たり4m進めた。2年5カ月を経て貫通した。
JRTTが貫通の瞬間を一般公開するのは、北陸新幹線金沢―敦賀間のトンネル工事に続いて2回目。竹村和晃長万部鉄道建設所長は「なかなか見てもらう機会がないので、喜ばしい瞬間を皆さんと共有したかった」と狙いを明かした。
トンネル内で町民に北海道新幹線や豊野トンネルの概要を説明した後、出口から1600m地点の切羽に移動。ドラムカッターによる掘削を見せた。
岩盤が崩れ日の光が差し込むと、見学者や施工業者から歓声が上がった。青木あすなろ建設の協力会社として工事に参加する笹島建設(本社・東京)の技術者が塩、米、酒を供え、無事貫通できたことへの感謝を示した。
竹村所長は「今後も工事は続く。安全第一に、周辺環境への配慮も怠らずに施工する。喜んでもらえる企画をまた考えたい」と話していた。