ロシア・サハリン州を代表する企業グループ、フィネコ産業投資コーポレーションのオレグ・マルティーノフ社長は16日、道庁別館で道内企業と懇談した。サハリンで普及する寒冷地技術の現状や廃棄物リサイクルの課題をめぐり、合弁企業の設立を含め技術や製品の輸出など協力関係の構築について意見を交わした。
道からサハリンビジネス交流事業を受託するFECマネージメント(本社・小樽)と北海道国際交流・協力総合センターの主催。サハリン進出に向けたビジネスチャンスを提供するため、マルティーノフ社長を招いた。
フィネコ社は1993年設立。建材販売や建設関連を主力とする15社を傘下に有する。道内企業とは、2004年に浜谷建設(本社・釧路市)と砂利生産の合弁企業を設立。05年には岩倉建設(同・札幌)をはじめ9社とHODEG(北海道デベロッパーズグループ)を設立し、現在はユジノサハリンスク市街でビジネスセンターを新築中だ。
寒冷地技術の断熱工法は、FPコーポレーション(本社・札幌)の高断熱・高気密パネルが一部の戸建て住宅で普及しているものの、一般的な住宅建築では発泡コンクリートブロックの外枠に樹脂やウレタンを混入したミネラルウールで外断熱している。マルティーノフ社長は「日本製は値段が高いので、安くて品質が劣る中国製が多く出回っている」と課題を提起した。
一方、経済発展の陰で廃棄物処理場の容量が限界に近づくといった負の側面も浮上。「州政府も再処理工場の建設を計画している。処理組合を発足させ、潤沢な予算を投じて調査を進めている」(マルティーノフ社長)と直面する課題を明らかにした。
ただし、同社としては「(州第2の都市)ホルムスク郊外に工場建設を提案し、木材チップの輸出を考えているが、採算性から様子見をしている」と率直に説明した。
懇談した北海道ロシアビジネス未来の会に所属する資材メーカー担当者らは「戸建て、集合住宅の割合はどの程度か」「日本企業に優位性はあるか」「大陸に進出する可能性は」などと熱心に質問していた。