北海道建設業協会は22日、ポールスター札幌で女性建設技術者の活躍研究会を開いた。道内の建設会社に勤める女性技術者20人が参加。行政機関で働く女性管理職からのメッセージを聞き、結婚や出産などを経て働き続けるために何が必要かを議論した。
道建協の会員企業に所属する女性技術者は87人、女性技能者は50人にとどまる。少子高齢化で人材不足が進む中、女性の進出が次世代に技術や技能を引き継ぐ大きな柱になるとみられている。
主催者を代表して萩原一利副会長は「道内の建設業従事者は22万人だが、女性の比率は極めて少ない。家庭と両立できるバランスの取れた環境づくりが建設業のイメージアップにもつながる」と期待した。
講師を務めた北海道労働局の浜田京子安全課長は「入庁当時、上司からは『男のように考え、レディーのように振る舞い、犬のように働け』と命令された。お茶くみは女性の仕事で、最初の2年は不満ばかりだった」と職場環境を振り返った。
当時は女性専用の休憩室や更衣室もなく、「制服に着替えるのはトイレだった。専用トイレもないのは、女性が活躍する以前の問題」と提起。「与えられた環境をどう進むかは自らの選択と決断。最後は実力」と力強く生き抜くよう激励した。
心理カウンセラーの神田裕子氏は、結婚と仕事を両立するワークライフバランスと、20―50代にキャリアを形成するために向き合うビジョンや体験、反省など課題解決をアドバイスした。
地方建協の女性事務員を含む参加者は、3グループに分かれて「女性技術者として働き続ける上で何が必要(不足している)か、またこれから何がしたいか」を討議した。
岩田地崎建設(本社・札幌)の飯田百合亜さん(28)は「現場勤めがしたくて飛び込んだが、現場ではむしろ協力会社の作業員が戸惑っている。頑張りを理解してほしい」と主張。妊娠や出産について「女性のつわりの大変さなどを知れば、おのずと改善策が見えてくると思う」と話す。
このほか、働く上で「男性はセクハラとかを意識しすぎる」「トイレや更衣室は現場に必要」「女性技術者を増やしてほしい」「分煙してもらいたい」などの指摘が出た。
これからの目標や望むことでは「スキルアップして現場を任せられる人材になりたい」「女性ならではの特性を生かして働き続けたい」「出産、子育てが一段落したら復帰したい」が多かった。