道内建設業の受注格差拡大-公共事業の見通し不安もー道建協調査

2015年02月06日 19時20分

 北海道建設業協会(岩田圭剛会長)は、会員企業を対象とした2014年度景況感アンケート調査の結果をまとめた。完工高を50億円以上に伸ばした企業が前年度比8割増など著しい回復傾向にあるものの、工事の減少による影響で受注が偏り、格差が生じている。大半が公共事業の見通しに最も心配を寄せ、経営の安定化にはあと一歩の情勢であることをうかがわせた。14年度新規学卒者の採用は7割増と高い意欲を見せたが、確保が難しいのが現状だ。

 毎年1―12月を調査期間に実施しているアンケート。今回は、道内に本社・本店を置く会員596社に調査を依頼し、422社(回答率70.8%)が回答した。

 完工高は、50億円以上と答えたのが21社で前年度を75%上回ったのをはじめ、10億円以上が全体の41%を占めた。5億円未満が減少し、5億―10億円未満が増えている。

 しかし、金額を前年度と比べて「増えた」と答えたのは全体の15.6%、66社にとどまる。公共、民間工事とも復調した前年度に比べて66%減少した。逆に「減った」は209社と2・8倍に上り、「ほぼ横ばい」は147社と8.9%増加した。

 「増えた」とした企業の増加量は「10%程度」が20社で最も多く、「30%以上」が8社と前年度の32社を大きく下回った。さらに「減少」した企業の減少量は「20%程度」が46社、「10%程度」が41社。「30%以上」は前年度の6社から33社と大幅に上回った。

 14年度は、公共投資政策の15カ月予算が前年度水準に届かず、民間工事も増税の駆け込み需要による反動で停滞し、工事量が総体的に減少。このため、企業間に受注格差ができる〝二極化〟が生まれたと推測される。

 また懸念材料を問うと、「今後の公共事業の見通し」が56.4%に当たる238社で最多。経営を左右する事業量の不透明さが背景にある。これに次いで「若手技術者の育成・確保」が93社、「高齢化による人手不足」が61社、「労務費、資材価格の高騰」が26社の順に多かった。

 利益確保については「赤字ではないが厳しい状況」が37.7%の159社で最も多かった。工事量が回復しても、利益が得られにくい受注環境であることを印象付ける。「工事によって利益を確保」は31.5%の133社で、「本社経費を除くと利益はない」が86社。「大半の工事で利益確保」は29社にすぎなかった。

 金融機関の融資対応については、83.9%の354社が「厳しい状況に変わりはない」と答えている。「多少緩和された」は26社で69.4%下回り、「従前より厳しくなった」は24社と7割増した。

 最近の資金繰りは「厳しい状況に変わりはない」が346社と82%を占めた。「従前より悪化」が2・1倍の47社。「若干好転した」は74.5%減少の25社に縮小した。

 新卒者採用の質問で、14年度は156社が高校、専門学校、大学(大学院含む)の新卒者を計318人採用した。企業数は39.3%、人数は71%それぞれ上回り、求人意欲が急速に高まった。1社平均の求人は、大卒が1・9人から3・1人となり、最も高い割合を示している。

 15年度の採用予定は、高卒が153社259人、専門学校卒が32社53人、大卒43社98人の計228社410人に上る。しかし、前年度は72社が求人を出したが1人も採用できず、全体の採用予定に対して74人が確保できなかった。

 道建協に望む講習会としては「技術力向上」に関するものが最も多かった。次いで「経営改善等」が前年度の「多様な入札方式」を逆転した。


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