札幌市は2月29日、1定市議会建設委員会で第2次札幌市耐震改修促進計画案を提示した。2020年までに住戸と多数の者が利用する建築物で、それぞれ耐震化率95%を達成することを目標に据えている。目標達成には住戸で約4万8000戸、民間の多数利用施設で約165棟の耐震化が必要となる見込み。
15年度で終了する現行計画に続くもので、16―20年度の5年間を対象とし、ことし4月の策定を目指している。
20年の推計によると、多数利用建築物のうち、旧耐震で建設された耐震性不十分の施設約715棟のうち、ホテルや百貨店などの専用商業施設が265棟で最多を占め、次いで住居施設が200棟、店舗が60棟と続く。耐震化率を見ると、市有建築物は20年度までに99%を達成する見込みで、中央区役所や交通局車両基地、市営住宅、学校の約10施設を残すのみだが、専用商業施設は多数利用施設全体で2番目に低い87%にとどまる。
新築や建て替えといった自然更新だけでは目標に届かないことから、市は不足分約165棟と試算し、棟数が多く耐震化率も低い専用商業施設を特に耐震化が必要な施設と位置付けた。
一方、耐震性が不十分な旧耐震基準で整備された住戸は約10万戸。このうち約6万戸を木造戸建て住宅が占め、耐震化率も81%と低いため、重点的に耐震化が必要としている。
取り組みの基本方針には①暮らしの安全と安心確保②都市の防災機能強化を挙げた。①では不特定多数が利用する施設や避難弱者利用施設、住宅などを重点建築物、都心部や地下鉄駅周辺などを重点区域に、②では地震時に通行を確保すべき道路をふさぐ恐れのある建築物、収容避難場所などを重点建築物、沿道や面する区域を重点区域に、それぞれ設定した。
民間建築物の耐震化促進策として、パンフレットやホームページでの普及啓発だけでなく、建築関係団体と連携した環境の整備、補助制度充実を掲げている。補助制度では建築物全体の耐震化に加え、特定天井やエレベーター、エスカレーターなどの対策に関する補助メニューも検討する。