室蘭を拠点に全国展開するDENZAIグループは、下請けとして参加する羽田空港の工事に備え試験施工を進めている。750㌧クローラークレーンが安定的に走行できるか、さまざまなトラブルに対応できるかを確かめるもの。室蘭市や発注者である国土交通省関東地方整備局の視察に合わせ、25日に試験の様子を公開した。
対象工事は、関東地整が発注した東京国際空港A滑走路保安施設用地基礎及び上部等工事。A滑走路南側に桟橋構造の人工地盤を築造し、進入方向を示すローカライザーの設置用地を確保するもので、4月に入札し大成建設・東洋建設・JFEエンジニアリング共同体が税抜き78億1600万円で受注。11月にも着工し、東京五輪が開催される2020年までの完了を目指す。
同共同体はDENZAIグループのうち川崎に本社を置く電材エンジニアリングと、オペレーター付きクレーンリース契約を締結。電材エンジニアリングは、保有する750㌧クローラークレーンを用い、口径3m、長さ75mの鋼管杭打ち込み22本などを担う。
試験施工では、現場に類似した条件を作るため、市港湾部から祝津町の150m四方の土地を借り、4%勾配の坂を設置。待機場所から施工場所までの走行時間を計測し、走行モーターの故障、タイヤのパンク、ブームが動かない―などあらゆる事態をトラブル想定し、準備体制を整えている。
電材エンジニアリングの野村隆志社長は「夕方9時から翌朝5時までの深夜作業のため、相当ハードな工程。トラブルが起きたら飛行機の離発着にも影響する。あらゆる事態を想定し試験施工をしておかなければ」と気を引き締める。
視察に訪れた国交省関東地整東京空港整備事務所の担当者は、「東京には他のクレーン業者もあるが、DENZAIグループ以外でこれ以上の規模のクレーンを持っているところは少ない」と話していた。
室蘭市の東平伸副市長は「室蘭に拠点を置く企業が、この規模の工事に参加されると聞き驚いている」とし、「緊張感もあるだろうが、予期せぬ自体に備え、試験結果を役立ててほしい」と期待を寄せた。