北海道開発局は2017年度、コンクリート施工後の表面全体の品質を評価する新技術を試行する。振動を計測するAEセンサを用いた打音検査で、函館開建発注の278号函館市大船大橋下部工(工藤組)に導入。品質確保による構造物の長寿命化と施工技術の客観的評価につなげる考えだ。
この技術は、国土交通省がi―Constructionを推進するため、発注者らの現場ニーズと技術シーズをマッチングさせて現場で試行する取り組みとして選んだ全国5件のうちの1件。
具体的にはAEセンサを施工後のコンクリート表面に当て近くを打音し、振動の周波数分布などを波形処理装置で分析。波形のずれから不良部分を見つけるもの。
通常は劣化の評価で使われることはあるが、施工後1カ月程度の評価で導入するのは初めてだという。本道は冬季の凍結融解によるひび割れが起きやすく、開発局は施工後のコンクリート表面全体の品質を評価する技術を探していた。現場では今回マッチングに成立した技術(原子燃料工業)以外に他社が持つ類似の新技術も試行する。
大船大橋下部(橋脚)は、コンクリートの品質向上の一環で17年度から取り組んでいる「コンクリート施工状況把握チェックシート」と「表層目視評価」の試行現場。同じ現場に導入することで、目視評価との比較検証を行うのが狙い。
開発局はコンクリートの表面性状と劣化の相関関係は大学などの研究でもまだ明らかになっていないとしつつ、今回の技術を用いて将来的には施工後の品質を客観的に評価できる手法を確立したいとしている。