店頭には、はや正月飾りが並び始めた。それを横目で眺めながら、そうせっつくなよと妙に落ち着かない気分になるのは筆者だけでないはずだ
▼「もうみんな師走の端を踏んでゐる」菅原章風。皆さんも足元を見てみるといい。もう踏んでいるはずである。きょうは12月1日。ことしも残すところあと1カ月となった。年内が期限の仕事は追い込みを掛けてきっちりと終わらせ、穏やかな気分で新年を迎えたいものだ。中には問題が複雑過ぎて、来年に持ち越さねばならないものも出てこよう。わが国のことでいえば北朝鮮への対応もその一つ。おととい、北朝鮮はまたも大陸間弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域に落下させた。今回のミサイルは米全土を射程に収めるという
▼日本が森友だ加計だ相撲だと内輪で騒いでいるうち、かの国は着々と他国攻撃能力を高めているようだ。金正恩朝鮮労働党委員長は年内に一定の期限を設けて開発を進め、晴れやかな気分で新年を迎えるつもりなのかもしれぬ。というのも、北朝鮮は2月からほぼ毎月、発射を強行している。国際社会の非難や制裁をまるで意に介さぬこの横暴は、開発目標にあと少しのところまで近づいている証しのようにも見える
▼日本にしてみれば、ことしはミサイルに始まりミサイルに終わるようなもので正直言ってしゃくな話。ただ、だからといって短気を起こしてはなるまい。「満たされず過ぎゆくものも師走かな」加藤時子。師走と焦らず、満たされずとも働き掛けを続けるほかない。外交は落ち着きを失った方が負けである。