わがままも行き過ぎると身を滅ぼすと教えているのだろう。グリム童話の「漁師とその妻」である
▼ある日、漁師が大きな魚を捕まえた。ところがその魚は「どうか逃がしてくれ」と頼む。優しい漁師が頼みを聞き、手ぶらで帰ると妻は激怒。なぜお礼を要求しないのかというのだ。漁師は海に戻り、妻が望む立派な家をお願いする。夢がかなった妻は次に城、今度は女王の座、ついには世界の支配者に、と増長し…。結末はお察しの通り。突然の大嵐に全て流され、粗末な家での貧乏暮らしに逆戻りである。さて、この漁師の妻、あれもこれも欲しがって、結局何も進められなくなっている小池東京都知事の姿と重なって見えるのは気のせいか
▼というのも、また小池氏の政策に疑問を投げ掛ける事態が持ち上がっているのである。豊洲市場の追加工事を発注する一般競争入札が不調続きのため、随意契約への変更を検討しているのだとか。ことし3月に経費を抑えるためとして入札改革を断行したばかりだった。工事は土壌汚染対策として行うものだが、予定した9件のうち落札したのは2件のみ。参加業者が辞退したり、予定価格を大幅に上回ったりと一向に決まらない。そもそも小池氏自身が複雑にした豊洲問題の後処理工事を、短工期、安値で施工業者に投げようというのだから入札が成立しないのも当たり前
▼五輪会場の見直し、築地市場の豊洲移転、希望の党立ち上げと、都知事就任以来、思うままに女王ぶりを発揮してきたが何か形にできたものがあっただろうか。これでは大嵐も避けられまい。