小樽ベイ 民事再生法適用申請 ルネッサンス社が事業継承

2017年12月07日 19時01分

 小樽市内の大型商業施設ウイングベイ小樽を運営する小樽ベイシティ開発(OBC、小樽市築港11の5、橋本茂樹社長)は7日、札幌地裁に民事再生法の適用を申請した。ルネッサンスキャピタル(本社・東京)が運用するファンドがこのほどスポンサーに就いたため、同施設は申し立て後も通常通りの営業が担保された。一般取引先、テナントの債権も同ファンドが全額保護。OBCの事業は、これから設立されるファンドの子会社に承継されることになる。

OBCの橋本社長

体験型施設による差別化を試みると話すOBCの橋本社長

 7日、OBCが小樽市庁舎で開いた記者会見で明らかにした。同社の民事再生法の適用申請は2度目となる。負債総額は約280億円で、債権者数は約120人。テナント数は約100に上る。

 ウイングベイ小樽は1999年3月、マイカル小樽としてオープン。初年度には年間1200万人の来場があったが、2001年にはOBCの経営が行き詰まり、民事再生法の適用を申請する事態に陥った。この時点で同社の負債は492億円に上った。

 OBCの主な収入はテナント賃料で、近年では毎年20億―21億円で推移。一方、経常赤字は3億―3億5000万円に上り、市に納める固定資産税の滞納(累計46億円)、テナントのイオン北海道(本社・札幌)への毎月の賃料1200万円を相殺するなどしての赤字運営が続いていた。

 ただ、ここ数年の来場者は約1000万人を超え、好調を維持。ニトリやファッションセンターしまむら、ビバホームなど大手チェーン店が入っており、市民から必要とされる施設となっている。

 同施設の可能性を評価し、このほどルネッサンス社が運用するファンドのルネッサンスセブン投資事業有限責任組合がスポンサーに就いた。5日には同社がイオン北海道の貸付債権(129億1200万円)および敷金保証金の返還請求権(59億300万円)の譲渡を受けている。

 記者会見で、民事再生法申請の代理人を務める関西法律特許事務所の高木大地弁護士は「通常は民事再生手続きを開始すると会社運営について危惧されるが、今回はスポンサーによる運転資金が確保できているため、通常通りの施設運営が可能だ」と説明。

 再生方針については、スポンサーの子会社として新会社を設立し、これにOBCの全事業を承継させる内容の吸収分割の実施を見込む。全従業員との雇用契約も継承するという。

 橋本社長は今後の事業計画について「債務が解消されたことでテナント誘致がこれまでより円滑に進められるほか、体験型施設を数年かけて呼び込み、札幌圏の商業施設との差別化を図る」と語った。

 森井秀明市長は、民事再生法の申請について「今回は単に経営破綻によるものではなく、再建を図っていくものと聞いている。同施設は本市の雇用と経済を支える重要施設であり、本市経済の活性化などに寄与することを期待する」とのコメントを発表した。


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