廃校舎の利活用を呼び掛けている新ひだか町は、北海道鹿美健(東京都港区海岸2丁目2の6、亦部章弘社長)と、2014年度で閉校した旧静内第二中(東静内270の11)の賃貸借契約を締結した。同社は校舎の一部を活用し、エゾシカの皮を原料とした生薬の開発・製造を行う計画。町は12年から廃校舎の利活用者を募集してきたが、これが初の契約事例となる。
同社が賃借するのは、土地3万9991m²、1971年建設のRC造、2階、延べ2190m²の校舎のうち、土地が3987m²、校舎が1階部分の5室、270m²。契約金額は月額で土地が4310円、建物が3万2475円の計3万6785円とし、昨年12月27日に締結した。このほか光熱費や修繕費などの維持管理費も発生する。
これまで、三石地区の旧延出小を日本語学校に活用したいという事業者があったものの実現には至らなかったため、町にとっては初の廃校舎利活用となる。
契約期間は2月1日から7月31日までの半年間で、この間に文部科学省から用途変更の承認を受けるほか、本稼働に向けて校舎の消防、電気、給排水、衛生の各設備、危険物に関する点検・調査を実施する。施設整備は製造設備の設置などにとどまるため、大規模な改修工事は発生しない見込み。
引き続き、事業を実施するため3年間の賃貸借契約を締結し直して操業を開始する方針。最終的には不動産購入を前提としているため、その後同社は賃借していた土地と建物を購入するか、経営状況によっては賃貸借契約の継続を選択することもできるとしている。
同社は17年4月設立。町によると、開発・製造に関する実績はないが関連会社のノウハウがあり、販売事業は別会社で既に行っているという。旧静内第二中で製造した商品は、関連会社が経営する薬局やインターネットで販売される予定だ。