仮想通貨不正流出

2018年01月30日 07時00分

 コロンブスらが活躍した中世ヨーロッパの大航海時代には、自分の身は直接危険にさらしたくないが一獲千金は狙いたいという人々が交易船に出資したそうだ

 ▼香辛料や絹、陶磁器、金銀などを手に入れて船が無事戻ってこられれば、出資者は一生遊んで暮らせるだけの巨万の富を得ることができた。ただ、海難事故や海賊の襲撃、取引先住民とのいざこざよって失敗することも多く、成功率は20%程度だったらしい。仮想通貨取引所大手「コインチェック」から約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスにより流出した事件に触れ、昔学んだ大航海時代の投機ブームのことを思い出した。今回は昨今急騰を続ける仮想通貨市場に私財を投じた人が、海賊ならぬハッカーの略奪に遭遇した格好だ

 ▼コインチェックは顧客が保有する「NEM」を預かっていたが、この管理口座をインターネットから切り離さず常時接続の状態にしていたという。いわば見える所に金庫を出しておいたわけである。サイバー犯罪に対し不用心との批判は免れまい。海賊だって大砲に守られた船より無防備な船の方が簡単に襲える。同社はおととい、保有者26万人に約460億円を返金すると発表したものの時期は不明。さてどうなることやら

 ▼当方もだがこの仮想通貨、いまだによく分からない人がほとんどでないか。大航海時代には全財産を投入した揚げ句、船が帰らず路頭に迷う人が続出した。仮想通貨も便利に使うのはいいが、わけもわからぬまま欲に駆られて大金をつぎ込むと落とし穴にはまりそうだ。


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