東西冷戦最後の象徴「ベルリンの壁」が崩壊してからの日数が、置かれていた日数を超えたそうだ。ドイツ大使館がきのう、ツイッターにこう投稿していた
▼「本日2018年2月6日でベルリンの壁の崩壊後から10316日という日数がたちました。これは1961年8月13日に突如壁が建設され、崩壊した1989年11月9日までの日数と同じです」。言い換えれば、自由と統一を手にしてからの日数となろう。ホーネッカー国家評議会議長は89年10月、東ドイツ建国40周年記念式典で自国を理想の社会主義国と自画自賛した。同席したソ連のゴルバチョフ書記長は「遅れてくるものは人生によって罰せられる」(『冷戦終結の真実と21世紀の危機』NHK出版新書)とこれを批判。壁はそのわずか1か月後に崩壊した
▼それから29年、今の強いドイツ経済は東ドイツの労働力と旺盛な需要が礎になったといわれる。欧州での主導的地位もこの経済力あればこそだ。ドイツ国民にとっては感慨深いに違いない。国家統一と聞けば、韓国と北朝鮮を思い出さないわけにはいかない。実際にはもう少し前だが仮に休戦協定の日に38度線ができたとすると、その壁は2万3000日以上存在していることになる。しかも崩壊する見込みは全くない
▼折しも9日から韓国では平昌冬季五輪が始まる。一部競技では南北統一チームを結成するそうだが、北朝鮮の時間稼ぎと制裁回避に利用されるだけだろう。北朝鮮国民も自由を手にしてからの日数が、独裁に苦しんだ日数を超えたと言える日が早く来るといいのだが。