▼先日、車にガソリンを入れに行ったら、108円の表示が出ていて少々驚いた。いつの間に110円を切っていたのか。灯油を見ると58円とあり、こちらも相当に安い。需要期故、家計には大助かりである。資源エネルギー庁の価格調査でも、4日時点のレギュラーガソリンは120円で10週連続、灯油は68円で25週連続それぞれ値下がりしていた。これでお小遣いも増額、は捕らぬタヌキのなんとやらか。
▼この価格低下、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられないらしい。新興国の景気低迷や世界情勢の悪化が反映したものだというのである。聞くところをまとめるとこうだ。まず中国経済の減速により原油需要が大きく減り、中国頼みだった新興国の需要も落ちる。米国はシェールガス開発が進み輸入を削減中。この間、中東産油国は政治と宗教の対立が激化し減産調整に至らず。結果、在庫がだぶつき、原油価格は低下の一途をたどるのみ。どうやらそんな仕組みになっているという。
▼最近の円高傾向や上海株の大幅な下げも、そんなグローバル経済の流れの中にあるようだ。こう複雑では、灯油が安くなる理由を子どもに質問されても、流行に便乗して「妖怪のせい」とけむに巻くしかない。つまり世界規模の「風が吹けば桶屋が儲かる」ということか。ただ、心配なのは東京株式市場の日経平均株価が年始から6日連続で下落したことだ。株価はきのうやっと反発したが、世界経済の不安定さが続くのであれば、安い灯油も爪に火をともすよう大事に使うほかない。