▼今の時期思い出す曲の一つに、函館出身のメンバーらで構成するロックバンドGLAYが1999年2月発表した「Winter,again」がある。最大の売り上げを記録した曲だから聞き覚えのある人も多いのではないか。こんな歌詞があった。「幼い日の帰り道/凛と鳴る雪路を急ぐ/街灯の下ひらひらと/凍える頬に舞い散る雪」。きょうは暦の上で立春だが、この歌詞の方が本道の実感に近い。
▼ここしばらく本道は連日真冬日で、冷凍庫の中で暮らしているようなもの。天気予報によると寒さは当分の間続くらしい。あす5日開幕のさっぽろ雪まつりを楽しむ分にはいいが、屋外で仕事をする人にとっては辛抱のしどころだ。ただ春を感じさせるものがないわけではない。日は長くなった。きょうの日の入りは午後4時50分。この1カ月で40分ほど伸びている。「日脚伸ぶただそれだけで気の晴れし」(大東美子)。夕方になっても明るさが残っているのは実際うれしいものだ。
▼春の兆しをいち早く見つけた喜びを表す言葉に「冬萌」がある。冬のうちから芽が出ることをいうが、芽でなく歌が出るこんな「冬萌」も良いものだ。GLAYが歌う北海道新幹線開業イメージソングが1月27日に発売された。JR北海道のCMを既に見た人もいよう。「Supernova Express 2016」でGLAYは躍動感のある旋律に乗せてこう歌い掛ける。「北の街は凍えた夢を/温めてくれるよ」。新幹線開業まであと50日と少し。春は確実に近付いている。