▼子どもには大人が眉をひそめたくなるような癖が多い。鼻をほじる、汚れた手をズボンで拭く、爪をかむといったことだ。ヨシタケシンスケさんは絵本『りゆうがあります』(PHP研究所)で子どもの言い分を愉快に描いている。鼻をほじる理由はこう。「ぼくのハナのおくにはスイッチがついていて」、押すと頭から「ウキウキビームがでるんだ」。それでみんなを、楽しい気持ちにさせるのだという。
▼道に落ちている物を拾って帰るのは、「こわれたうちゅうせんのしゅうりにつかえそうなぶひんを、さがすおてつだいをしているから」という立派な使命があるのだとか。本当にこんな答えが返ってきたら親としては苦笑いするしかなさそうだ。子どもは実際、現実離れした発想で驚かせてくれるから面白い。さてこちらは笑っていられないがどんな理由があったのか。北朝鮮が7日、人工衛星と称して事実上の長距離弾道ミサイルを発射したのだ。先日の水爆実験といい暴走が続く。
▼国連安保理を中心に自制を促していたが不発に終わった。金正恩政権は国際社会の非難など全く意に介していないようだ。一連の行動の理由はいつもの脅しだろう。わがままな子どもと同じである。北朝鮮国営放送はミサイル発射を満面の笑みで眺める正恩氏の姿も伝えたという。どうやらこの人の場合、国際社会を挑発するボタンを押す度に「ウキウキビーム」が出るらしい。悪いことにこちらのビームは絵本と違い、楽しい気持ちになるのは本人だけ。民衆は苦しむばかりである。