自然エネルギーで地域活性化 北海道小水力フォーラム

2018年02月22日 11時00分

■小水力で地域活性化

 北海道再生可能エネルギー振興機構(札幌)の「北海道小水力フォーラム2018」が20日、札幌市内で開かれ、小水力発電に代表される自然エネルギーを通して地域の活性化を考えた。トークセッションでは、再生可能エネルギーを題材にしたドキュメンタリー映画「おだやかな革命」の渡辺智史監督ら3氏が登壇。地域の自立には農業や漁業の産品と同様、自然エネルギーの持続的な活用が鍵を握ると訴えた。

自然エネルギーと地域活性化について意見交換する渡辺監督と森田社長、中島事務局長(左から)

 「おだやかな革命」は、岐阜県郡上市の石徹白など集落を舞台にしたドキュメンタリー映画。大きな社会システムに依存せず、自然資源を生かすことで地域を支えるエネルギーを生み、新しい仕事やコミュニティーをつくりながら豊かさを取り戻していく人々の姿を描いている。

 

 トークセッションは渡辺監督のほか、全国小水力利用推進協議会(東京)の中島大事務局長、東吉野水力発電(本社・奈良県東吉野村)の森田康照社長が参加。自然エネルギーを通した地域再生をテーマに意見を交わした。

 

■作った電気を〝地産地消〟

 小水力は河川の水を貯めることなく、そのまま利用する発電方式。地域による地域のための開発で、地元コンサルや施工業者、保守管理会社が参画しやすく、地域の活性化や雇用促進にも有効と注目されている。

 東吉野水力発電は最大出力82㌔㍗。1914年に建設し、村の繁栄の象徴となっていた「つくばね発電所」を復活させようと2015年に着工。総工費は2億4000万円で、うち5250万円を市民ファンドなどに融資してもらいながら17年に完成した。

 森田社長は「小水力は手段、目的は地域活性化。新しい電気を村の人たちに地産地消で使ってもらいたいと思い、造ったのが私たちの発電所」と話した。

 中島事務局長はフィリピンの森林保護を目的とした〝マイ箸〟運動を実践していた80年代、地元間伐材から割り箸を作っていた下川町の関係者と議論したエピソードを紹介。「当時は森林認証のシステムがなかった。今は対立を解決するためのツールや知恵がいろいろでき、行動できる時代だ」と訴えた。

 渡辺監督は「小水力やバイオマスに代表されるように、価値観の転換期が始まっている。動きは広がると思われ、それを傍観するのではなくプレーヤーとして参加していく時代に一層なれば」と話していた。


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