世界中の子どもたちに愛されている藤子・F・不二雄さんの漫画『ドラえもん』に欠かせない登場人物といえば「のび太君」である。ご存じの通りこの少年、いつもめっぽう頼りない
▼知力体力が少々心もとないところに気弱な性格も災いし、よく問題に巻き込まれる。そこでドラえもんの秘密道具に頼るわけだ。「何とかして」と泣くのび太君にドラえもんは決まってこう言う。「しょうがないなあ、のび太君は」。のび太君へのような優しい口調でなく、諦めとイライラが混じった調子なのだが最近この「しょうがないなあ」を耳にする機会が増えた。後にこう続くのである。「JR北海道だから」。駅で、職場で、家庭で、と状況は違えど中身は皆同じ。JR北への不満である
▼このところ雪の降り方が激しく低温も続くため頻繁にダイヤが乱れる。通勤通学時なら文句の一つも言いたくなろう。ただ雪による遅延などは昔からあった。それでもかつては、こんなあざけりに近い言葉は少なかったのでないか。相次ぐ不祥事と道内半分の路線を維持困難とした発表が印象を悪くしているのだろう。苦しい経営はJR北だけの責任でないが、頼りにしているだけに失望も大きい
▼それでも事態は進み始めている。自治体協議がきしりながらも発車。きのう開会した定例道議会では路線問題が中心議題の一つになる。国交省は20日、JR北の線路を別の企業に開放し、観光列車などを走らせる施策を打ち出した。JR北にのび太君になってもらっては困るが周りに手を差し伸べるドラえもんがいることは心強い。