きょうから本道の天気は大荒れのようだ。年度末3月といえば仕事の追い込み、異動、子や孫の卒業や入学準備とただでさえ慌ただしいのにその初っぱなからこれである
▼「雪しまく天に戦ひあるごとし」(濱佐文)。「雪しまく」とは雪を伴って激しい風が吹くさまをいうが、札幌管区気象台によると、ちょうどこの句のごとき状況が予想されるため十分な警戒が必要という。天の戦いになど巻き込まれては大変だ。きょうは主に太平洋側で大量に湿った重たい雪が降り、あすは日本海側や太平洋側西部で暴風雪、その他の地域でも暴風となる見込みなのだそう。この時期の低気圧は暖気にエネルギーを得て、強力に発達することがあるためたちが悪い
▼車内での一酸化炭素中毒や低体温症で、9人もの命が失われた2013年3月2日から3日にかけての暴風雪災害のことを、何度でも思い出す必要があろう。あの時と同様、今回の低気圧も道東地方に大きな影響をもたらしかねない。油断も楽観も禁物である。気を抜けないのは他の地域も同じである。今冬の特徴の一つは局地的な大雪。幌加内町では一時、積雪深324cmに達し道内最高記録を更新した。「大雪の底に生き延びゐたりけり」伊藤玉枝。住民はまさにそんな心境だったのでないか。渡島・桧山地方も慣れぬ大雪にずいぶん悩まされたと聞く
▼この積もりに積もった雪が今度は、低気圧による雨や暖気で雪崩や河川の氾濫、浸水といった災害を呼び寄せる。どこに危険が潜んでいるか分からない。慌ただしくとも無理だけはしないことである。