▼きのう通勤途中にクロッカスの花が咲いているのを見た。春である。今週から本道も、昼間は2桁の気温が常態となりそうだ。そろそろ冬服から衣替えを、と考えている人も多いのではないか。この時期、つい口ずさんでしまうのがキャンディーズの『春一番』(1976年)だ。「泣いてばかりいたって/幸せは来ないから/重いコート脱いで/出かけませんか」。冬服を脱ぐと確かに気持ちは軽くなる。
▼衣替えといえばこれもそうだろう。道立文書館別館が北菓楼札幌本館として生まれ変わり、18日にオープンした。同別館は1926(大正15)年に建てられた歴史的建造物である。先週、見に行ったのだが、ジャイアントオーダーを擁する正面は威風ある当時の姿のまま。内部壁面はむき出しの赤れんがとコンクリート打ち放しで、過去と現代がここで出会っているよう。欧州の聖堂を思い起こさせる交差ヴォールト風の白い天井や、東西の壁全面を覆う巨大な本棚にも目を奪われた。
▼1階が店舗、2階がカフェと歴史資料室になる。基本デザインは建築家の安藤忠雄氏が担当したそう。役目を終えたかに見えたものに再び価値を与え、未来へつなげる好例だろう。さて衣替えの話題なら最近もう一つあった。こちらは「泣いてばかりいたって」支持が集まらないから、民主党という「重いコート」を脱いだらしい。民主党と維新の党の議員が合流し、27日に民進党を旗揚げした。政権交代の未来へつなげるという。気になるのは衣替えの衣がつぎはぎに見えることか。