往年の三船敏郎の映像がふんだんに。18日、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、「MIFUNE:THELASTSAMURAI」が上映された
▼波乱に満ちた生涯に迫ったドキュメンタリー作品だ。アカデミー賞を受賞したスティーヴン・オカザキが監督を引き受けた。メリハリのある映像で、俳優としての三船の魅力が浮かび上がる。戦後から1960年代の日本の社会的な背景も織り交ぜている。「ヒロシマナガサキ」で2008年にエミー賞を受賞した社会派の監督らしい。そして、次々に登場するスピルバーグ監督ら著名人のインタビューが圧巻だ
▼上映前に行われたトークで、日系三世のオカザキ監督は「10代の時『七人の侍』で、初めてアジア人のヒーロー映画を見た。ドキュメンタリー制作は夢だった」と感慨深げに話した。三船敏郎の孫でプロデューサーの三船力也氏は「ハードルは高かったが、最初で最後という思いでアカデミー監督にお願いした」と苦難の道のりを明かした。この作品は海外で先行上映され、国内では5月に劇場公開する予定
▼三船は、黒澤と組んで「羅生門」「七人の侍」「蜘蛛巣城」「用心棒」などで主演、国際的なスターとなり「世界のミフネ」と呼ばれて愛されるようになった。どの作品も名作中の名作だが、公開当時はタブーを破る斬新な手法で世界を驚かせた。それまでの常識にとらわれない、先駆的な映画。その映像は、今も新鮮だ。型破りな三船の存在は公式・非公式を問わず尖った作品を上映し続ける「ゆうばり映画祭」に似合う。