函館市は、南かやべ保養センターとホテルひろめ荘について、2020年度の民営化を目指している。18年度予算に建物診断や不動産鑑定などの関連経費1000万円を計上。19年度に公募選定委員会を開いて売却先を決定する。行財政改革プランの一環で取り組む。柔軟な施設運営への転換も期待している。
大船町832の1ほかにある南かやべ保養センターは1990年に開設。S一部RC造、平屋、延べ1060m²の規模で、06年に浴場棟を全面改修している。硫黄泉と重曹泉の泉質の違う2種類の温泉が楽しめる。
一方、95年に開業したホテルひろめ荘はRC造、3階、延べ3194m²の規模で、20室を有する。両施設には年間約10万人が来館し、16年度に1200人を対象に実施したアンケートでは9割以上の満足度を得たという。
指定管理者制度を導入し、道南温泉(本社・函館)が運営。過去10年間で約2億円の黒字を計上している一方、その間の市の修繕費は1億円に上る。供用開始から20年以上が経過して維持費はさらに増える見通しだ。
また、条例に縛られない自由で収益性の高い運営は、利用者にとってもメリットになると考え、民営化を決めた。両施設の建物、土地4筆、2つの泉源を売却対象とする。
18年度は建物診断や用地確定測量、不動産鑑定などの各種調査を進める。19年度に公募型プロポーザルで売却先を決めるほか、条例改正なども予定。20年4月の民営化を見込む。
旅館業の経営実績や5年間の公衆浴場運営、利用料金の激変緩和措置などを条件に、買い戻し特約を付した売買契約を想定。過去に売却した谷地頭温泉の手順も参考にする。