140年の電灯

2018年03月26日 07時00分

 日本の治安が諸外国に比べて良い理由の一つには、人家のある所なら全土ほぼくまなく街灯が整備されていることも挙げられよう。「夜陰に乗ずる」のが悪事をたくらむ者の習性。道々を照らす明かりは物言わぬ用心棒である

 ▼きのう25日はその街灯の先駆けとなったアーク灯が日本で初めて実験的に点灯されて140年の節目だった。「電気記念日」はこの日を記憶にとどめるため日本電気協会が定めたものである。街灯の第1号はそれから4年後の1882(明治15)年、銀座2丁目の大倉組(現大成建設)事務所前でともった。東京電灯の発起人の一人大倉喜八郎が実演と宣伝を兼ねて設置したという。市民と電気との出会いである。夜の街を昼間のように照らす電灯に、見物に集まった人々は大いに驚いたらしい

 ▼光から動力へと電気の応用は一足飛びに進んだ。今ではあって当たり前。ただし肝心の発電は東日本大震災で福島第1原発が事故を起こして以来、迷路に入ったまま出口を見つけられずにいる。今月は関電大飯、九電玄海と原発再稼働が相次いだが、北電泊をはじめまだ多くの原発は止まったまま。天候に左右される太陽光や風力はベース電源として使えず、火発は地球温暖化や老朽化におびえながらフル稼働を続ける

 ▼一方で電気自動車への傾斜が強まるなど需要は衰えを知らない。若葉は次から次と出てくるのに根や幹は枯れるに任せているようなものだ。140年前と変わらず石油資源に乏しい今の日本にとって生命線は電気である。そろそろ本腰を入れて発電の問題に取り組まねば。


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