若者が「ししゃも」について話すのを聞いて、「あれおいしいよな」と口を挟んだらきっと笑われる。十中八九、最近流行の女性3人組みバンド「SHISHAMO」のことだろう。等身大の生活を歌って共感を得ているようだ
▼ヒットした曲の一つ『明日も』にこんな歌詞があった。「良いことばかりじゃないからさ/痛くて泣きたい時もある/そんな時にいつも/誰よりも早く立ち上がるヒーローに会いたくて」。働いていても学校に行っていてもつらいことや苦しいことはいくらもある。そんなときに精いっぱい頑張っている人を見ると、元気や勇気をもらえると伝える内容だ。実感としてよく分かる。最近なら韓国の平昌五輪から休みなく活躍を続けるスポーツ選手がぴったりこよう
▼ジャンプ女子の高梨沙羅選手もその一人。24日にはワールドカップ(W杯)第14選で今季初優勝し、男女を通じW杯歴代単独最多となる通算54勝の快挙を成し遂げた。翌25日にも勝利を挙げ、55勝まで記録を伸ばしている。スピードスケート女子の高木美帆選手は18日にW杯今季日程を終え、全種目での総合優勝に輝いた。さらにノルディックスキー複合の渡部暁斗選手も同じ18日、日本人としては23季ぶりとなるW杯総合優勝を決めている。五輪出場選手に限らない。記録を塗り替える選手が毎日のように現れこちらの気持ちに活を入れてくれる
▼歌の主人公たちは繰り返し自らにこうエールを送っていた。「ヒーローに自分重ねて/明日も」。重ねられるヒーローがこんなにもたくさんいる今の、何と幸せなことか。