「アルテピアッツァ美唄」に新たな展示スペースを建設へ

2018年03月31日 09時30分

 美唄市は、安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄ビジョンの素案をまとめた。施設老朽化など、現在抱えているさまざまな課題への対応策などを示すもの。ハード施策には、彫刻作品の大きさなどにより、アートスペースやギャラリーでは展示できない安田侃氏の作品を展示するスペースを確保するため、新美術館棟を建設することを盛り込んでおり、設計・施工は2019―21年度に進める計画だ。

 ビジョンの計画期間は18年度からの10年間。美術館は開館から25年が経過し、設置された作品の数も大理石やブロンズなど40点以上に増え、敷地面積も3倍以上に大きく増えたほか、指定管理者制度に移行するなど開設当時と大きく環境が変化した。

 ここ数年は外国人観光客も増加し、22年度には道道美唄富良野線の開通が予定されるなど、これまで以上に来館者への対応が必要となっており、施設の老朽化や野外彫刻の損傷などさまざまな課題へ対応し美術館の施設や環境をより有効的に活用するため、ビジョンを作成することにした。

 落合町栄町にある美術館は旧炭鉱住宅街の小学校跡に造られたもので、敷地面積は約7万m²。W一部S造、2階、延べ616m²のアートスペース(旧体育館)や、W造、2階、延べ388m²のギャラリー(旧校舎)、W造、平屋、延べ242m²のストゥディオアルテ・カフェアルテ(体験工房・喫茶室)などで構成している。

 来館者はここ数年、年間3万人前後で推移していたが徐々に減少。16年度は過去最低の約2万4000人となった。来館者の傾向を見ると、16年度の市内と市外の割合は1対9と市外が多く、道内と道外の比較では道内の割合が高くなっており、今後は台湾からの団体来館者の増加や、22年度に予定する道道美唄富良野線開通による来館者の増加が期待される。

 ハード施策に関しては、既存施設はアートスペースを1991年、ギャラリーを98年に改築して以降、大規模な改修をしておらず、屋根や外壁の損傷が進んでいることから、来館者への影響を最小限にしつつ、保全が必要な部分については手法を検討しながら段階的に改修する。

 また、彫刻作品の大きさなどにより、アートスペースやギャラリーでは展示できない作品を自然の影響を受けずに展示できるスペースを確保するため、新美術館の整備も計画。規模はこれからの検討となるが、18―19年度に用地確保し、19―21年度で設計、施工を進める見通しだ。

 周辺環境では、駐車場の劣化や排水設備などの老朽化が見られることから緊急性・必要性の高い順に整備するほか、大型バスなどへの対応可能な駐車場の整備・拡充を21―22年度で行い、敷地内の無電柱化も実施する。

 このほか、ソフト対策として、美術館が取り組んでいる芸術振興事業を拡充し、普及啓発を進める。

 市では市民意見なども踏まえ、5月中のビジョン策定を予定している。


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