▼北斗市の小学2年生が5月28日から七飯町の山林で行方不明になっていた事件は、当の少年が3日朝発見され、無事保護された。本当に良かった。日本中で心配していたようなものだ。皆ほっと胸をなで下ろしたろう。報道によると鹿部町の陸上自衛隊駒ケ岳演習場の小屋にいたとのこと。行方不明当日の夜に歩いてきたという。よく頑張ったものだ。真っ暗な森に寒さ、空腹。さぞ心細かったに違いない。
▼親御さんらもこれでやっと一安心だろう。連日の大捜索でも手掛かり一つ見つからなかったのだから、最悪の結果が頭をよぎったとしてもおかしくない。実際、かなり危なかった。まだ詳しいことは分からないが、今回は幸運が重なったようだ。早い段階で偶然小屋を見つけ、そこから動かなかった。どちらの条件が欠けても生存は難しかったろう。筆者も山歩きには慣れているが、地図とコンパスなしで初めての山に放り込まれたらまずお手上げである。静かに救助を待つしかない。
▼しつけのつもりで置き去りにしたことは軽率だったに違いない。さりとて一方的に責めるのもどうか。落語でも「火事息子」など勘当噺は多いが、大体は親の愛情あればこそのものだ。勘当でなくとも、悪さで家を閉め出された人は少なくないはず。今度の件もそれ同様、父親は危険などないと思ったのだろう。ただ、親なら誰でも覚えがあるように、子どもはときに大人が想像もしない行動に出る。どこまで目配りできるのか、悩ましい問題だ。ともあれ今は少年の無事を喜びたい。