北海道開発局は1日、雨竜川で本格化するダム再生事業に向け、札幌開建滝川河川事務所(新十津川町)内に雨竜川ダム調査事業所を新設した。雨竜第2ダムのかさ上げなどの調査を実施する部署で、所長に幾春別川ダム建設事業所の吉野敦久副所長が就任。あす5日、開所式を催し門出を祝う。
国土交通省はダム提体のかさ上げによる貯水量の向上、施設の長寿命化など既存ストック活用を軸にしたダム再生ビジョンを2017年6月に策定した。同ビジョンに基づくダム再生事業の第1弾として雨竜川ダム、早明浦ダム、矢作ダムの3カ所が18年度新規採択された。
雨竜川ダム再生は、1943年に雨竜川上流で竣工した雨竜第1、第2ダムの活用を検討。どちらも北電所有の水力発電ダムだが、利水容量のうち2500万m³を治水目的で事前放流が可能になる洪水調節容量へと振り替えて、下流域の洪水被害を軽減する計画だ。
第1ダムは1870万m³、第2ダムは堤高35・7mの提体を2・4mかさ上げした上で630万m³の洪水調節容量を確保。総事業費には190億円を試算している。
開発局は新桂沢ダム建設で直轄ダムとしては初となるかさ上げ工法を採用し、既にダム再生に関わる知見を積み上げている。札幌開建河川計画課は「コスト縮減の観点からも既存ダムの再活用は全国的な流れ。効果的な治水対策につなげたい」と事業の本格化に意欲を見せている。