▼一体いつまで降り続けば気が済むのか。天気予報を見るたびそんな思いにさせられているからだろう。「梅雨明けの待たるる日々と書き出しぬ」(野口南枝)の句が目に留まった。ことしはこの句に詠まれた心境に共感する人が多いだろう。九州地方にまた大雨の予報が出ている。3月14日の熊本地震発生からあすで3カ月たつ。なかなか収束しない地震と相次ぐ雨で、地盤は相当に緩んでいるに違いない。
▼大きな被害が出なければいいのだが。本道にいてさえ心配になる。きのうからきょうにかけての雨は、元台風1号の湿った空気が九州付近に流れ込んだためらしい。気象庁も「雷を伴い非常に激しく降る所がある」と大雨被害や土砂災害に警戒を呼び掛けている。地震の次は大雨と、地域を守る建設業者らも身を休める暇がないのではないか。梅雨明けは平年、九州北部が7月19日、同南部が14日ごろという。そろそろとはいえこればかりは天を仰いで待つしかない。全くもどかしい。
▼一連の地震についてはほっとする話題も出てきた。政府地震調査委員会が11日、熊本や阿蘇で震度5強程度の余震が発生する可能性は低下したと発表したのだ。これで梅雨も明ければ復旧復興に本腰を入れられる。一方、熊本県災害対策本部によると10日現在、93避難所で4966人が依然不便な生活を強いられているとのこと。発災直後から多くの被災者を支えてきた曲「見上げてごらん夜の星を」(永六輔作詞、いずみたく作曲)に勇気をもらう日々は、もうしばらく続きそうだ。