すご腕のスナイパー・デューク東郷の活躍を描いた劇画『ゴルゴ13』(さいとう・たかを、リイド社)を読んだことのない男性はいないだろう。今も連載が続く『ビッグコミック』(小学館)を毎回楽しみにしている人も多いのでないか
▼依頼先の善悪は問わず条件さえ合えば狙撃を請け負ういわばアウトローだが、不可能と思われる案件を超人的な技量と知略で切り抜け完遂する格好よさに世の男性たちはしびれる。そのゴルゴ13ことデューク東郷に今度は日本の外務省から依頼が舞い込んだ。いや、これ本当の話。両者が「中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」の普及に向け、コラボレーション(協働)することで合意したのである
▼マニュアルが必要になった背景には、日系企業の海外拠点が現在7万カ所と10年で倍増した事情があるという。この間、テロは欧米やアジア地域に拡散し、世界各地で事故や災害も頻発。ところが中堅・中小企業は自前の情報収集力が弱く、十分な安全対策もとれない。そこで外務省は在留邦人の指南役としてゴルゴ13を世界各国へ派遣することにしたそうだ。任務の様子は同省の海外安全HPに置かれた13話の動画と劇画で見ることができる。その仕事ぶりは相変わらず迫力があって怖いくらい
▼動画では声優としてゴルゴ13に俳優の舘ひろし氏、外務大臣に河野太郎氏本人を起用。なかなかの力の入れようだ。ゴルゴ13の厳しい指導で自分の身は自分で守る基本が身に付くというから、仕事でも遊びでも海外に行く機会のある人は参考にしてみてはいかがだろう。