松山刑務所脱走事件

2018年04月17日 07時00分

 愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から脱走した平尾龍磨受刑者(27)の行方がようとして知れない。きょうでもう10日になる

 ▼潜伏しているとみられる広島県尾道市の向島では車や食料品、衣類の窃盗が相次いでいるという。住民の不安と恐怖はいかばかりか。これではおちおち出歩くこともできまい。愛媛、広島両県警は連日、大規模捜索を続けているが発見には至っていない。一体どこに隠れているのか。懸命に山狩りをする捜査員たちのニュースを見て、昔読んだ小説の記憶がよみがえった。実際にあった事件を素材に書かれた吉村昭の小説『破獄』(新潮文庫)である。犯人は脱獄の常習者。網走刑務所を逃げ出したときには、砂川で逮捕されるまで実に2年を要した

 ▼どうしてそれだけ長く追っ手をかわすことができたのか。最初は山を転々とし、寒くなると地熱で暖かい廃鉱に潜んだ。食料や衣類は怪しまれない程度に少しずつ盗んだらしい。つまり逃げるために必死に頭を働かせたのである。このとき捜索を阻んだのは本道の広大さと厳しい冬だった。今回の向島で捜査員の前に立ちはだかるのは島の大部分を占める山林と相当な数の空き家だという。許可なく立ち入れないため事前の調査にも人手がとられているそうだ。難しさもあろうが逃走に手を貸すようなこの事態はどうにかならないか

 ▼ここで逃がしては犯罪者が野放しになる。今はおとなしくしていても、逃げ続けるために必ず犯罪を繰り返そう。このコラムが載るきょうにはそれが杞憂(きゆう)になっているといいのだが。


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