隣の責任

2018年05月16日 07時00分

 隣に住む人は選べないから―、との言葉をよく耳にする。実際、性格の合わない人、平気で迷惑を掛けてくる人と隣り合って暮らすことほど悩ましいことはない。そんな経験をしたことがあるという方々も少なくないのでないか

 ▼テレビでも定期的に近所の困った人が取り上げられている。理由を聞くとこんな具合だ。一日中騒音がひどい、ごみが家の外まではみ出している、公用の空間を私物化して他人を排除する。いざこざではないが作家の向田邦子さんにも気になることがあったそうだ。エッセイ「隣りの責任」に記している。近所に大理石風外観を持つしゃれたビルができた。見ると1階には豪華な美容室と魚屋が並ぶ。ただこの魚屋、魚箱は汚れたまま外に山積みの上、全体に不潔でいつも臭い。向田さんは美容室に同情せずにはいられなかったという

 ▼皆が気持ちよく過ごすためには、できる範囲でお互いに気を使い合うのがご近所付き合いの鉄則だろう。それがないと途端にぎすぎすした関係になる。国際社会も原則は同じ。イスラエルとパレスチナ自治区の話である。この問題は第2次大戦後、ユダヤ人らがパレスチナ人の土地に無断で巨大なマンションを建て権利を主張しているようなもの。隣人への配慮はほとんどなかった

 ▼そこに今回降って湧いたトランプ米大統領の大使館エルサレム移転。イスラエルのみに肩入れする行為はイスラム社会を怒らせるに十分だ。これまでの経緯から米国には責任もあるはずだが、トランプ氏にとって中間選挙の票にならない者は隣人でないのかもしれぬ。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 日本仮設
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,448)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,284)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,170)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,142)
函館開建が国道5号の常盤川交差部に橋梁新設の可能性...
2024年04月17日 (783)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。