最近、訪日外国人観光客の医療費問題を取り上げた報道をよく目にする。急病やけがで医療機関にかかったまではよいが、あまりの治療費の高さに料金を支払えない外国人が増えているというのである
▼日本の公的保険の対象外で旅行保険にも加入していないと、症状が重い場合、治療費が数千万円に上ることもあるのだとか。未納分の多くは病院の負担となるため、今のように外国人が多いと損失もばかにならない。観光庁が3月末公表した「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査」を見ると、旅行中に病気やけがをした人は全体の6%。このうち医療機関に行く必要性を感じた人は26%だったという。ただし実際に受診した人はその半分弱。つまり全体の0.6%にとどまる
▼心配するほど多くないようだが、さにあらず。政府観光局によると昨年1年間の訪日外国人は2869万人。0.6%でも17万人を超える。本道も道経済部の集計(2016年)で来道外国人は230万人だから1・3万人以上だ。もちろんこの全てが支払い不能になるわけではない。先の調査でも73%が保険に加入していることが分かっている。ただし観光地を抱える地方の小さな医療機関だと、未納者が数人出ただけで経営が揺らぐ
▼事態を深刻に見た政府は今月にも対策を打ち出すという。旅行保険の加入促進を第一に、過去に未払いがある外国人の入国拒否や医療通訳の育成などを盛り込むようだ。訪日客を呼び込むには旅行者と受け入れ側どちらの安心も必要だろう。料理だけでなく医療の方も丁寧にお膳立てしたい。