少し歴史の話にお付き合い願いたい。といってもさほど昔ではなく1869年のことである
▼この年、エジプトでスエズ運河が完成した。そのころ列強と称されていた国々の世界戦略を著しく変える出来事だったという。欧州ではドイツ(当時プロイセン)とフランスの紛争が激化し、世界大戦へ向け大きな一里塚を刻んでいた。さらに米国では大陸横断鉄道が開通。資本主義経済の拡大発展に大きく貢献したそうだ。目を身近なところに戻すと、日本は明治2年。戊辰戦争が箱館攻防で終わり、この北の大地に「北海道」の名が与えられた年である。名付け親は松浦武四郎。アイヌ民族がこの地で生まれたものを「カイ」と呼んでいたからだったという
▼それから150年目に当たる2018年に道は記念事業を予定しているのだが、きのう、そのロゴマークを決めるインターネット投票を開始した。候補は北海道の形やアイヌ文様などをかたどった3種類。道の特設サイトで見て、投票することができるそうだ。ところでわれわれは150年といって喜んでいるが、北海道には少なくとも5万年くらい前から人が住んでいたらしい。千歳や新十津川で旧石器が見つかっている
▼想像ではあるが、言葉はなくともその時代の人々も今と変わらず、喜んだり不満を漏らしたりしながら懸命に生きていたに違いない。こうして石器を作ったり鉄道を通したり、人が日々の営みを続けてこれたのもこの恵み豊かな大地あればこそである。ロゴマークを選びながら、あらためてそのことにも思いをめぐらせたい。