11月の北海道は暗く寒々として陰鬱(いんうつ)だから嫌い―。そう言ったのは作家の渡辺淳一だが、12月に入っても相変わらずそんな天気が続いている
▼昼の暖かさに油断していると、仕事を終えて帰るころには凍えるような風が吹いていて、青空が見えていたと思ったら次の瞬間には雪が降っている。毎度のことながら実にめまぐるしい。まだ寒さに慣れないからだろう、いつも体の芯が温まっていない気がする。どうやら寒さに悩んでいるのは、北国に暮らしている者ばかりではないようだ。内戦状態が長引く中東シリアの人々もこの時期、寒さに苦しめられているのである
▼中東の気候といえば照り付ける太陽のイメージばかり強く、まさかと思うかもしれないが、厳冬期は気温が氷点下まで落ち込むほど寒いのだとか。ちなみにきょうの首都ダマスカスの気温は最高こそ16度まで上がるものの、最低は2度に落ち込む予報だ。その後1週間も最高が20度弱、最低が2―3度程度である。寒暖の差が著しい。今、内戦は激しさを増し、住民は食料や医薬品不足に加え、寒さにも苦しめられている。国連事務次長も先頃、激戦地アレッポが住民の「巨大な墓場」になると警告していた。他の地域も同じらしい
▼国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はシリアなどで避難生活を送る人々への防寒支援の呼び掛けを始めている。北国の人間なら、防寒具なしに冬の屋外に放り出される怖さは身に染みていよう。国連UNHCR協会のHPからも支援ができる。一度ご覧になってみてはいかがだろう。