先の週末は近年記憶にないほど体を酷使したという人も多かろう。そう、雪かきである。道内全域ではないが、札幌と一部地域でこの時期としては珍しいドカ雪が降った
▼札幌管区気象台によると、きのう午前9時現在の積雪は札幌が平年比4・2倍の63cm、恵庭は5・6倍の56cmにも達したそうだ。網走も4・2倍の38cmである。土曜の朝起きて外を眺め、見なかったことにしたいと思ったのは筆者だけであるまい。こう一気に降られたのでは家族総出で雪かきをするほかないと、慌ててホームセンターに向かったのだが考えることは皆同じ。除雪器具売り場は年末の市場のような大にぎわいである。スコップなどが文字通り飛ぶように売れていく。なかなかの壮観だった
▼交通事情はといえば、道路はまず車を雪の山から掘り出すところからだからお話にならない。鉄道やバス、航空各社のダイヤも乱れに乱れ、遅延、運休が相次いだ。土日のため通勤、通学にそれほど影響がなかったことだけは幸いだったが。雪かきに疲れた土曜の夜、目に入ってきたのは大隅良典東京工業大栄誉教授の、ノーベル賞授賞式直前の表情を伝えるテレビニュース
▼雪にうんざりしていたからだろう、誇らしさを感じると同時に、雪にも「オートファジー」があればいいのにと愚にも付かぬことを考えていた。オートファジーはたんぱく質をアミノ酸に分解して再利用する生命現象。雪にも自ら解ける仕組みがあればこんな楽なことはない。もっとも、春にはそうなる。冬は始まったばかりなのに、もう春が待ち遠しい。