プラン変更が遅延要因 釧路総合病院新棟設計で会見

2018年06月13日 12時00分

 釧路市が計画する市立釧路総合病院新棟建設の設計業務を担当した共同体の代表である共同建築設計事務所(本社・東京)は12日、ANAクラウンプラザホテル釧路で記者会見を開いた。事業費の大幅増額や納期遅延を理由に市が共同体との契約を解除し違約金支払いなどを求めていることについて、市側からの度重なるプラン変更要請や土壇場での調整率変更などが要因として、契約解除の理由に正当性がないと主張した。

 新棟の基本・実施設計は、2015年度に公募型プロポーザル方式で同共同体が受注。16年9月の基本設計完了段階では免震構造を採用し、地下1地上10階、延べ3万7900m²、506床、事業費約172億円と想定していた。

 実施設計は17年5月に着手。その後の変更要請などを踏まえ、市側は階数や病床数は変えず延べ床面積を3万8859m²、事業費を約179億円とすることで最終合意したと説明している。

遅延の要因を説明する川島副社長(右)

 会見には、同社の川島浩孝副社長と大場道夫企画営業部長が出席。川島副社長は最終的に市から指示された4月23日の納期に向け成果品は完成していたと強調し、「ぜひ成果品を受け取っていただき、早期着工につなげることが釧路市民にとっても有益」と訴えた。

 大場部長は基本設計着手段階で前段となる基本計画が完了していなかった、基本設計完了後も度重なるプラン変更があった、積算に当たり見積価格に乗じる調整率は公的機関のものを採用するはずが、当初の納期である3月23日の前日に急きょ道が定めた調整率での積算を指示された、など市側とのやりとりがかみ合わなかったと伝えた。

 実施設計図は一部を除き17年9月に完成し積算作業を開始したが、11月には大半の工種で工事費が上昇しているため基本設計で示した概算事業費を大幅に超過することが判明。同社は減額案の検討に取り掛かり、12月に入って設計変更案や減額案を示したものの、大半の採否は保留された。

 12月20日には市側からほぼ全フロアにわたるプラン変更要請があり、同社は「期限内の対応は困難」として施工段階の設計変更で対応するよう求めたが聞き入れられなかったという。

 川島副社長は「12月のプラン変更が一番ダメージが大きかった」と述懐。また、道の調整率による積算は実態からかけ離れていると指摘し、公的機関の調整率を採用し減額措置も講じた共同体の最終案なら十分実現可能との考えを示した。


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