新生夕張市石炭博物館

2018年06月18日 07時00分

 以前から興味のあった夕張市石炭博物館が4月28日に全面リニューアルオープンしたと聞き、これを機会にと先週、見学に行ってきた

 ▼札幌市内から高速道路を使っておよそ1時間。かつて「石炭の歴史村」としてにぎわった広大な敷地の一角にそれはあった。ただ財政再建団体が故の悲しさ。道道から折れて博物館までの道は荒れ気味で、点在する廃虚の横を抜けていく。本当にたどり着けるのかと心配になるほど。中に入ると一転、美しい館内に整然と展示物が並ぶ。石炭産業とともに繁栄してきた北海道の歴史と、そこに重要な役割を果たした夕張の足跡が写真やパネル、壁面展示で紹介されていた。順路に沿って数多くの映像を流し、その時々の生活を垣間見せる演出も心憎い

 ▼圧巻は国登録有形文化財の旧北炭夕張炭鉱模擬坑道である。まずはたくさんのマネキン労働者に迎えられた。さらに下り実際に使われていた坑道に入る。炭鉱の中を歩くことなどなかなかできるものではない。貴重な経験である。この大改修は市が財政を切り詰めるだけの「再建」から、未来を見据えて攻勢に出る「再生」へと転換するための布石という。テーマを「生きるに向き合う博物館」としたのもそれが理由だそう

 ▼訪れた日の盛況ぶりを見ると、滑り出しは上々のようだ。考えてみれば博物館までの荒れ気味の道も含め今の夕張の姿は、失礼な言い方かもしれないが全て優れた展示ではないか。産業空洞化、財政破綻、少子高齢化、地域の魅力づくり。夕張に行って学べること、学ばねばならないことは少なくない。


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