JR北海道が経営再生見通し案を公表

2018年06月18日 19時08分

 JR北海道は17日、グループ全体の経営再建策の骨格を示す「経営再生の見通し案」を公表した。北海道新幹線札幌開業を生かした札幌駅周辺再開発や不動産事業の拡大で経営基盤を強化し、地方路線の維持につなげる方針だ。国に対しては、新幹線高速化の実現に向け、青函トンネル維持管理費や貨物走行に起因するコスト負担の軽減などを要請。維持困難線区では、輸送密度200人以上2000人未満の8線区について国と道、地域に対して2030年度までの支援を求めた。

 この日、道庁本庁舎で開かれた、同社の事業範囲見直し問題に関する道や国などで構成する6者会議に提出した。

 見通し案では、自社で取り組む4つの経営努力と自社単独で解決できない3つの経営課題を明示。経営再生の改善効果がすぐには表れないことから、経営自立の契機となる道新幹線札幌開業の30年度まで必要となる支援を要請した。詳細な施策や収支試算は、国や道の支援の枠組みや規模が不明なため提示を避けた。

 経営努力では経営基盤の強化として、札幌圏輸送の強化・事業の多角化を図る。快速エアポートの輸送力増強を含めた空港アクセス輸送強化、道新幹線札幌開業に対応した特急輸送体系の整備に取り組む。

 開発・関連事業では、札幌駅周辺再開発による商圏拡大、グループホテル事業のネットワーク拡大、苗穂駅再開発を皮切りとしたマンション販売事業参入による不動産事業で基盤を支える。

 安全対策に関しては「安全投資と修繕に関する5年間の計画」が最終年度を迎えたことから、次期計画の策定・実行に取り組む。安全投資の資金確保のため、社宅集約による跡地の売却や駅のワンマン化、使用頻度の少ない路線設備の使用停止で資産売却・コスト削減をする。

 経営努力効果を検証するため、四半期ごとの線区別収支情報公開や部門別収支の開示に努める。

■青函 走行コスト減要請 維持困難8線区の支援も

 自社単独では困難な経営再生の課題としては、道新幹線札幌開業に向けて新幹線収支の均衡を図るため、新幹線の高速化を主張。札幌―東京間の移動時間を現行の5時間強から4時間半程度に短縮するため、貨物との青函共用走行や青函トンネル固有施設の維持管理コストの負担解決を目指す。

 利用者や地域に対しては、1996年以来の運賃値上げや無人駅の廃止について理解を求める。

 30年度までの具体的な支援として、8線区への支援のほか、青函トンネル維持管理費や貨物の線路使用料など貨物走行に起因する経費の負担軽減と、快速エアポートの増強をはじめとする増収につながる支援を国に求める方針。約12年間と支援が長期にわたることから、一定の期間で区切って計画を見直し、検証・実行する。

 貨物の線路使用料については、貨物走行のみの線路のコストや貨物専用駅に入るための設備、除雪費用などを踏まえた適切な線路使用料の算出について、JR貨物も交えて協議を進める。

 さらに、維持困難線区の収支改善に関し、各路線の方向性について年内にも合意形成を目指す。輸送密度200人未満の5線区はバス転換の提案を続ける。他の8線区では必要な交通体系を構築し、一定期間ごとの計画の検証に取り組む。個別路線の解決期限の明示は避けた。

 6者会議で島田修社長は「これらの支援を続けていただけた暁には、札幌開業をして経営自立を果たしたい」とし、「理解していただけるよう地域にも丁寧な説明をして、維持困難線区含めた課題解決に全力を尽くしたい」と述べた。

 今後は、夏ごろまでに提示される国の支援策と結び付け、経営再生の見通しやグループ会社の意見を取り入れた経営再建策を具体化し、年度末までに公表する長期経営ビジョンに反映させる。

 この日の記者会見で島田社長はホテル・不動産事業の道外展開について、当面は道内事業を手掛けるとしながら、「12年間の計画の中で選択肢を狭める必要はない」との考えを示した。

 また、アクセス増強に伴う新千歳空港駅の苫小牧方面への延伸について西野史尚副社長は「総論としては有効な施策」とし、必要性に関する理解促進に取り組むとした。


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