文科省の天下り

2017年01月21日 09時20分

 寿命は伸びれど給料は伸びず、頼みの年金も縮む一方というのが今のご時世である。朝から浮かない話で申し訳ない。定年延長の制度も定着してきてはいるが、老後を全て賄えるほどのやりがいも金銭的余裕も与えてくれないのが実情だろう

 ▼いっそのこと、評論家の中野孝次が提唱した「清貧の思想」で生きようと思ってはみても、かすみを食って生きていけるほど人間ができておらぬ。難儀な現実というほかない。第一生命「サラリーマン川柳」に以前あったこんな一句に共感する人も多いだろう。「定年後私は何をする人ぞ」(脱サラリーマン)。先が見えない以上、不安を抱くのは当然である

 ▼ところが雲の上に住むらしい霞が関の人々にとって、そんな心配は無用のようだ。文部科学省の元高等教育局長が同省のあっせんを受け早稲田大に再就職したという。しかも人事担当者が元局長在職中、大学側に情報を流していたとのこと。元局長をエレベーターに乗せ、上階行きのボタンまで押してあげたわけ。国家公務員法違反だが、法を度外視した天下りは慣例になっていたようだ。国益より省益に重きを置く霞が関流だろう。天下りを大事にしているからには、「天」にも「下」にも甘い汁があるに違いない

 ▼筒井康隆版『現代語裏辞典』によると、【天下り】は「役人が退職後、真に世の中の役に立とう」とすることだという。農水省は農民や漁民に、法務省は夜回りに再就職すべしとある。文科省には何がいいか。少なくとも順法精神と公共心を教える仕事だけはやめさせた方がよさそうだ。


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