ここ数年、空前のネコブームが続いている。関連商品やサービスも出せば売れる状況といい、「ネコノミクス」なる言葉まで生まれているそうだ
▼その流行に乗ったつもりもないのだが、当家でも最近、黒ネコを飼い始めた。エサだおもちゃだ砂だと、確かに出費はかなり増えた。しかし、かわいい。皆川おさむさんの往年のヒット曲『黒ネコのタンゴ』の一節、「ぼくの恋人は黒いネコ」を実感している毎日である。こちらもある種のネコブームと言えるかもしれない。「クロネコヤマトの宅急便」の宅配便最大手ヤマト運輸の「宅急便」取扱実績が、2017年度2月末で約17億1000万個に上り、3月期末では過去最多を記録する見込みなんだとか
▼恋人ではないにせよ、今や日常生活や仕事には欠かせない相棒のようなものだろう。そのヤマト運輸が、27年ぶりに基本運賃の値上げを検討しているそうだ。インターネット通販の急増に配送体制が追い付かず、サービス維持が困難になっているためという。アマゾンなどをよく使う当方にとっても人ごとでない。ただ常々、なぜ安い商品まで送料無料にできるのか疑問に思ってはいた。要は配送業者にしわ寄せが行っていたわけだ。大口取引なら割引も当然だが、度を越せば通販業者自身の首を絞めることになろう
▼強い立場にあぐらをかいていたメーカーと、顧客と地道に信頼関係を築き上げた流通側とで力が逆転した家電業界がいい例だ。このクロネコもいい顔ばかりはしていない。宅配業の改革のためには敢然とかみつくことで知られている。