いつからだろう、横文字略語がこんなにはびこり出したのは。DIY(日曜大工)が使われ始めたころはさほど多くなかった気もするが、CEO(最高経営責任者)だのCOO(最高業務執行責任者)だのが広まり出した10年ほど前から急に増えてきた感がある
▼日本がグローバル化したのか、それとも和訳するのが面倒になったのか。いずれにせよかっこ書きがなければまるで意味が分からない。難儀なことである。横文字もあまり縁のないところで使われているだけならどうということはない。ところが近頃は建設分野にまでこの流れが押し寄せているようだ。例えば本紙14日付4面、国土交通省の「技術基本計画案」の記事はこんな調子である
▼〈「人を主役としたIoT(インターネットオブシングス)、AI(人工知能)、ビッグデータの活用」を技術政策の柱の一つに位置付け、ICTと人の持つ創造性を融合〉。読みながら思わず「何のことやら」、と天を仰ぎたくなった人も少なくないのでないか。この計画の核となるのは、やはり横文字でi―Constructionというそうだ。本紙でも連日のように紙面を飾る言葉だが、何度見ても親しくなった気がしない
▼横文字が全て悪いわけではないだろう。ただ国交省も政策を成功させたいならもっと分かりやすく伝える工夫があっていい。映画の原題『ボニー・アンド・クライド』を、『俺たちに明日はない』とするなど数々の名訳を生み出してきた日本ではないか。何にでもかっこを付けて良しとするのはNG(ノーグッド)だ…。