きのうの朝、仕事に向かおうとJR発寒駅まで行くと雨のため列車が遅れていた。JR北は昨今、問題ばかりという負の印象が頭にこびりついているせいか、つい「こんな雨ぐらいで」との不満が浮かぶ
▼乗客は皆静かに待っていたものの、筆者と同じ思いの人も少なからずいたのでないか。ただ説明をよく聞くと雨そのものでなく、朝里付近で斜面から水が出ていたため区間の運行を中止して点検しているとのこと。お恥ずかしい話だが、実は待合室で流れていた放送がこもり気味で、当初、「斜面」を「車内」と聞き間違えていた。雨で車内が水浸しなんてまた車両の不備か―と早合点した次第。分かってみれば安全のための当然の措置。路盤が流出して事故が起きては元も子もない
▼函館本線の札幌小樽間は海沿いを走るため乗客は爽快な気分を味わえる。半面JRにとっては泣きどころだ。明治の幌内鉄道建設で散々苦労したことでも知られる通り、崖地に線路があるため気象の影響を受けやすいのである。朝の列車遅延を機に、あらためて本道の鉄道網が広い大地の多くの難所を越えて張り巡らされていることに気付かされた。「半分の路線が単独で維持困難」の発表から半年。JR北はこの大きな壁を前に立ちすくんでいるように見える
▼ただようやく前向きの動きも出てきた。沿線自治体との話し合いである。宗谷線とは既に会合を持ち、27日には石北線とも開かれるらしい。廃線となれば遅延どころの騒ぎでない。JR北への批判もあろうが地域もわが事として腹をくくるべき時なのだろう。