配属後も3年間支援 外国人実習生ランゲージスクール開校

2018年07月29日 14時00分

 個人・共同住宅などの建築工事を担うインフィニティ(本社・札幌)が、ベトナム人を中心に外国人技能実習生を支援する「インフィニティ ランゲージスクール」を7月に開校した。実習生の入国後に日本語などを1カ月間教育。受け入れ先企業への配属後は、実習期限の3年にわたり職場環境のサポートを担う。年間約120人まで対応可能で、11月までに50人ほどの入校が決まっている。深刻化する建設業での労働者不足。日本に興味を持った若い外国人を雇用する動きの拡大に合わせ、受け皿づくりに努めている。

 「ベトナムの若者たちの目が、とにかくやる気に満ちあふれていて、魅力を持って迎え入れようと思った」。2017年3月、若い外国人技能実習生を受け入れるためにベトナムを訪れた及川雄介社長。現地で若者と触れ合い、日本への興味の高さと、日本で働きたいという熱意を強く感じた。

 厚生労働省によると、全国の外国人建設業労働者数は17年10月末で5万5168人で、うち道内は942人を数える。都道府県別では13番目と少ないが、前年同期と比べると51.9%の大幅な増加だ。事業者の注目の高まりがうかがえる。

 国籍は、ベトナム人が2万3470人で圧倒的に多い。「器用さや素直さなど日本の国民性と似ている」(及川社長)との見方があり、道内でも建設業で働く割合は高いようだ。

 少子高齢化を背景に建設業界は職人不足に悩み、対策の一つとして外国人労働者に活路を見いだす企業が少なくない。及川社長は「ベトナムの若者たちのやる気を広めたい。もっと携わるにはどうしたらいいか」と考え、事業の参入を決めた。

授業風景。実習生は入国直後の1カ月間、日本の言葉やマナーを学ぶ

 インフィニティ ランゲージスクールは、協同組合事業交流広島センター(広島市)の委託を受けて運営する。外国人技能実習制度に沿って、入国した実習生が受け入れ先企業の配属前に、1カ月の直前講習を実施。配属後は、一人一人の実習状況や賃金の支給状況など定期的に巡回訪問をし、帰国までサポートする。

 札幌市北区新琴似12条1丁目1の30にある2階建ての店舗を購入し、校舎として改修。サクラの模様が付いた壁紙など、日本の文化を感じることができる内装にした。

 1階が3段ベッドや台所などを設けた実習生用の寮。壁に張ってある学習スケジュール表には、日本語やマナー教育など、昼食を除いて1日のほどんどが授業で埋まっていた。2階には2つの教室や教員用の部屋を設けた。日本での滞在経験が長いベトナム人の2人が教員を務める。

 開校時はまだ生徒1人だが、教師のグエン・バオ・タックさんは「これから、生徒がどんどん増えるので緊張します」と流ちょうな日本語で。今後、20以上の企業から実習生を受け入れる予定で、大工やとびなどの建設業だけでなく、農業にも携わる者も出てくるという。

 学校以外の別会社として、ベトナムでの現地法人を17年9月に設立した。実習生が3年間の期限を経て帰国すると、日本との生活のギャップなどで、定職に就かない者が多いという課題が生じているためだ。

 同社は開校前に3人の実習生を受け入れていた。「学んだ技術をベトナムに持ち帰って生かし、人生を豊かにしてほしい」(及川社長)との思いから、ベトナムで事業展開する日系企業などの現場に携われるようにするための受け皿をつくった。

 及川社長は、彼らがそこで働くことを願って、現地企業との人脈づくりに奔走する。外国人技能実習生をサポートする学校運営と、現地での技術伝承により日越交流の橋渡しを担っている。


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