道内での自然エネルギー発電普及に向け、送配電の在り方を考えるシンポジウムが4日、札幌市内の北海道クリスチャンセンターで開かれた。十勝管内でバイオガスプラントを建設している農業団体が、北海道電力に売電枠取得の手続きをしたものの、基幹送電線である日高幹線の空き容量がゼロのため、売電の見通しが立っていないことを報告。系統運用に関する課題の対応策を探った。
北大の有識者らで組織する実行委員会が主催。コンサルティング会社や農業協同組合の担当者、一般市民ら約180人が参加した。
現状報告で、十勝清水町農業協同組合などが設立した十勝清水バイオマスエネルギーと、士幌町農業協同組合がそれぞれ建設しているバイオガスプラントに関し、直面している課題を話した。
十勝清水バイオマスエネルギーは売電枠所得の手続きについて、北電から3月に「出力496㌔㍗で接続可能」との回答をもらったが、5月に再度連絡があり、申し込みが想定を超えたことなどを理由に日高幹線の空き容量がゼロとなったと伝えられた。
士幌町農協は広域共同型プラント1基を整備している。こちらも北電から出力抑制の条件付きで売電が可能との回答があったものの、5月に買い取りができない旨の連絡があったという。
報告した士幌町農協畜産課の上原秀一主任は「バイオガスプラントは家畜ふん尿処理の問題を解決する手段として有効。しかし、イニシャルコストは10年前の2倍になり、建てづらい状況になっている」と指摘し、FIT制度維持の必要性を強調。送配電の問題解決に向け、参加者に協力を求めた。
九州大エネルギー研究教育機構の分山達也准教授は、国内の系統運用に関する課題について講演。関係機関が接続電源の送電に必要な容量を実際の運用出力で評価して、接続可能量を拡大させる「想定潮流の合理化」などの対策を検討していることを説明した。